東京高等裁判所 昭和42年(行コ)23号 判決 1968年3月22日
東京都小金井市前原町二丁目五三七番九号
控訴人
河村幸吉
右訴訟代理人弁護士
本木国蔵
佐藤英二
合谷幸男
同都武蔵野市本町三丁目二七番一号
被控訴人
武蔵野税務署長
立花義男
右指定代理人
福永政彦
山口三夫
菊池秀臣
上野晃
右当事者間の昭和四十二年(行コ)第二三号所得税更正請求控訴事件について、当裁判所は次のとおり判決する。
主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実
控訴代理人は原判決を取消す、被控訴人が控訴人に対し昭和三十七年十二月五日控訴人の昭和三十四年分所得税に関する滞納処分として小金井市前原町二丁目五百三十七番九宅地百五十坪の土地に対してなした差押処分が無効であることを確認する。
訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とするとの判決を求め、被控訴代理人は控訴棄却の判決を求めた。
当事者双方の事実上の主張、証拠の提出、援用及び認否は被控訴代理人において乙第二号証は資産税係からの通知書の雛型であると述べた外は原判決事実摘示と同一であるからその記載をここに引用する。
理由
当裁判所の判断は以下の点を附加する外は原判決の理由中に説示するところと同一であるからその記載を引用する。
控訴人は確定申告書による申告が無効であって所得税額が確定していないから本件差押処分も無効である旨主張しているが、右申告書記載の内容の錯誤を本訴において主張し得ないことは、原判決の理由中に説示しているとおりであり、被控訴人が控訴人に対し昭和三十七年十一月十日昭和三十四年分所得税の賦課決定をなしたことは当事者間に争いないところであるから、右賦課決定が当然無効でない以上右決定に基いてなされた差押処分が右決定の瑕疵によって無効となり得ないことは明らかであり、この点からいっても控訴人の本訴請求は理由なく失当である。
以上判示のとおり控訴人の請求は失当であり、右請求を棄却した原判決は相当であるから民事訴訟法第三百八十四条第一項により本件控訴を棄却し、当審における訴訟費用の負担について同法第九十五条、第八十九条を適用して主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 毛利野富治郎 裁判官 石田哲一 裁判官 加藤隆司)